ブルーベリーの育て方
ブルーベリーの育て方|苗選び・植え付け・肥料・剪定を農園が解説
ブルーベリーをおいしく育てるポイントは4つです。
- 住んでいる地域に合った系統を選ぶ(寒い地域はノーザンハイブッシュ系、暖かい地域はサザンハイブッシュ系かラビットアイ系)
- 酸性の土(ピートモス)で育てる。ふつうの野菜の土や堆肥では弱ってしまいます
- 肥料は少しずつ、9月以降はあげない
- 冬にしっかり剪定する。実の品質の8割は剪定で決まるといわれます
約8,000本のブルーベリーを育てている長野県の農園「森の畑」が、家庭で育てるときのコツを、1年の作業の流れにそって紹介します。
- 栽培カレンダー(1年の作業)
- 苗の選び方
- 植え付け(鉢植え・地植え)
- 用土と肥料
- 水やり
- マルチング
- 植え替え
- 鳥・害虫・病気の対策
- 収穫の時期と見分け方
- 剪定(夏と冬、木の年齢ごとのやり方)
- よくある質問
1. 栽培カレンダー
| 時期 | 主な作業 |
|---|---|
| 12月から2月前半 | 冬の剪定(いちばん大切な作業) |
| 2月後半から3月 | 植え付け・植え替え、元肥(休眠から覚めた木に与える肥料) |
| 4月から5月 | 開花・受粉(花は2週間ほど咲く)、マルチング、追肥 |
| 6月から9月 | 収穫(系統・品種で時期が違う)、夏の剪定、追肥 |
| 収穫後 | お礼肥(実をつけて弱った木に与える最後の肥料)。寒い地域では9月上旬までに |
| 10月から11月 | 植え付け・植え替え(暖かい地域)、紅葉 |
剪定は冬と夏の年2回。肥料は年に2、3回、少しずつで十分です。
2. 苗の選び方
ブルーベリーは苗から育てます。通販やホームセンターで買えますが、できれば自分の目で確かめましょう。前の年から売れ残った古い苗は育ちが悪く、手間がかかります。
避けたい苗
- ラベルが黄ばんでいる、はがれている
- 季節に合わない育ち方をしている(冬なのに花が咲いているなど)
- 根詰まりしている(お店の人に根を見せてもらいましょう)
選びたい苗は、枝が太く、挿し穂からよく枝が伸びているものです。
地域に合った系統を選ぶ
| 住んでいる地域 | 向いている系統 |
|---|---|
| 北関東より北・寒い地域 | ノーザンハイブッシュ系 |
| それより南の暖かい地域 | サザンハイブッシュ系、ラビットアイ系 |
系統ごとの代表品種はブルーベリーの品種一覧で紹介しています。
2品種以上を近くに植える
ブルーベリーは、自分の花粉では実がつきにくい性質(自家不和合性)があります。同じ系統の違う品種を2本以上近くに植えると、ミツバチが花粉を運んで受粉しやすくなり、大きな実がたくさんなります。
何年目の苗を買うか
| 苗 | 収穫までの目安 |
|---|---|
| 2年苗(よく売られている) | 安く買えるが、あと3年ほど育ててから収穫。1年目から実をとると、木が弱ったり翌年花が咲かなかったりしやすい |
| 3年苗 | あと2年ほど育ててから収穫 |
| 5年苗 | その年から収穫できる |
何年目の苗かわからないときは、ラベルを見るかお店の人に聞きましょう。
3. 植え付け
植え付けは真冬を避けて10月から3月に行います。暖かい地域は10月から11月、寒い地域は2月から3月が向いています。
鉢植え(プランター)と地植え(庭植え)の違い
| 鉢植え | 地植え | |
|---|---|---|
| よいところ | 狭い場所やベランダでも育てられる。2本を並べて管理しやすい。日当たりのよい場所へ動かせる | のびのび育ち、収穫量が増える。高さは2m前後と小型。秋の紅葉も楽しめる |
| 気をつけること | 根が横に広がるので根詰まりしやすい。2、3年に1回は植え替えが必要 | 土が合わないとすぐ弱る。植え付け前にピートモスをたっぷり混ぜる |
写真は森の畑の農園。約8,000本すべてを鉢(ポット)で育てています。
鉢植えの手順
- 鉢底石を敷き、鉢の3分の1くらいの高さまで土を入れます。
- 苗の根を軽くほぐし、鉢の中心に置きます。
- ブルーベリー用の土を入れて、すき間を埋めます。
- たっぷり水をやります。
地植えの手順
- 深さ30cm、直径50cmほどの穴を掘ります。
- 苗の根を軽くほぐし、穴の中心に置きます。
- 土を地面より少し高く盛り、水はけをよくします。
- 支柱を立てます。
- たっぷり水をやります。
- 乾燥を防ぐため、土の表面をワラ、モミガラ、木材チップ、バークチップなどで覆います(マルチング)。
4. 用土と肥料
土は酸性のピートモスで
ブルーベリーの原産地は、アメリカとカナダの国境あたり。酸性で栄養分の少ないピート(泥炭)が積もった土地に自生していた植物です。そのため、酸性の強いピートモスを使った土で育てます。ふつうの野菜や果樹のように堆肥や有機肥料をたくさん与えると、かえって木が弱って枯れてしまいます。迷ったら、ブルーベリー用として売られている土を選ぶのが安心です。
肥料は少しずつ
ブルーベリーは急に栄養が増えるのが苦手です。ピートモスを足すか、少しずつ溶け出す粒状の「緩効性肥料」を少量ずつ与えます。与えすぎると、根がしおれたり枯れたりする「肥料やけ」を起こします。
| 肥料 | 時期と目的 |
|---|---|
| 元肥 | 2月後半から3月。休眠から覚めた木に |
| 追肥 | 5月ごろと収穫期に、少量を年2、3回 |
| お礼肥 | 収穫が終わったあと、実をつけて弱った木に。寒い地域では9月上旬までに終える |
秋に肥料が効いて枝が伸び続けると、まだやわらかい新しい枝が11月以降の寒さで傷み、枯れてしまうことがあります。
5. 水やり
- 日中の暑い時間は避け、1日1回、夏は1日2回ほど、土の様子を見ながら与えます。
- 育つ時期はとても水を欲しがりますが、水はけが悪いと根腐れして枯れてしまいます。
- 秋からは少しずつ控え、冬の休眠中は雨に任せるか、土が乾いていたら与える程度で十分です。
6. マルチング
土の表面を、ワラ、モミガラ、木材チップ、バークチップ、枯れ草などの有機物で覆うことを「マルチング」といいます。
| マルチングの効果 |
|---|
| 乾燥を防ぐ(特に夏) |
| 雑草を防ぐ |
| コガネムシの発生や侵入を防ぐ |
| 土の温度を安定させる(特に冬の寒さ対策) |
7. 植え替え
鉢植えのまま植え替えをしないでいると根詰まりを起こし、水や養分を吸う力が弱くなります。2、3年に1回、11月か3月に植え替えましょう。葉が落ちていて、剪定もしやすく鉢を動かしやすい時期です。
- 鉢から苗を抜き、根を軽くほぐします。
- ひと回り大きな鉢に、新しいブルーベリー用の土を入れます。
- 苗を鉢の中心に、幹がまっすぐになるように置きます。
- 土を入れて、すき間を埋めます。
- たっぷり水をやります。ピートモスは最初水を吸いにくいので、しっかりしみ込ませましょう。
葉や花だけでなく、根の様子もときどき確かめるのが長く育てるコツです。
8. 鳥・害虫・病気の対策
鳥
甘い実は、ヒヨドリ、ムクドリ、スズメ、カラスに狙われます。基本の対策は防鳥ネットです。
- 支柱を立てます。
- 防鳥ネットにひもを通し、支柱に固定します。
- 木全体を覆います。
- 地面との間にすき間ができないよう、ひもで結びます。
小さな鳥も通れないよう、網目が20mm×20mm以下のネットを選びましょう。
害虫
| 主な害虫 | 対策 |
|---|---|
| コガネムシ、コウモリガ、ハマキムシ、カイガラムシ、シンクイムシ、イラガなど |
|
害虫は、実の甘い香りに引き寄せられたり、マルチングの湿気を好んで住みついたりします。薬剤を使う場合は、有機JASで使用が認められている資材や、BT剤など作物に残りにくいものを選びましょう。
病気
病気は湿度が高いと出やすくなり、葉が赤くなる、枯れる、実がつかない、カビが生えるといった症状が出ます。主な病気は灰色かび病、マミーベリー、枝枯れ病です。風通しをよくし、病気になった部分は剪定してほかへ広がるのを防ぎます。必要に応じて殺菌剤を使います。
9. 収穫の時期と見分け方
| 系統 | 収穫の目安 |
|---|---|
| ノーザンハイブッシュ系 | 6月中旬から8月上旬 |
| サザンハイブッシュ系 | 6月中旬から8月上旬 |
| ラビットアイ系 | 7月から9月 |
地域や品種、その年の天候で前後します。
- 実全体が黒っぽい青色になってから5日ほどが食べごろです。
- おしりがピンクや赤なら、まだ早いです。
- 軽く引っ張ると取れる実が完熟。離れない実は未熟です。
ブルーベリーは一粒ずつ熟すので、毎日少しずつ摘み取ります。
10. 剪定
剪定は、太い枝を残して細い枝を間引く作業です。実の品質の8割は剪定で決まるといわれるほど大切で、その年の収穫だけでなく、翌年以降の育ち方をイメージしながら切ります。
剪定でよくなること
- 風通しと日当たりがよくなり、育ちがよくなる。病気や害虫も防げる
- 花芽を減らして実のつきすぎを防ぎ、一粒ずつに養分と日光が行き渡る
- 樹形が整い、コンパクトに育てられる
切るのは、今年実をつけて弱った枝、つまようじほどの細い枝、高く伸びすぎた枝、横に広がりすぎた枝、内側に向かって伸びて込み合った枝です。
夏の剪定と冬の剪定
| 夏の剪定(6月から8月) | 冬の剪定(12月から2月) | |
|---|---|---|
| 目的 | 伸びすぎた枝を切り、風通しと日当たりをよくする | 本格的な剪定。育てたい枝と花芽に養分を集める |
| 切る枝 | 重なった枝、内向きの枝、下向きの枝。新しく伸びた枝は先を摘んで枝分かれを促す | 腐った枝、寒さで傷んだ枝。実がつきすぎないよう花芽を減らす |
| 注意 | 翌年の花芽は8月から9月に葉の付け根にできるので、枝先を切り詰めすぎない | 実の数が多いと粒が小さくなる |
木の年齢ごとのやり方
| 木の年齢 | やり方 |
|---|---|
| 2年苗を買ってから1、2年 | 収穫より成長を優先。花芽(枝先のぷっくりした芽)がついた枝先はすべて切り、残った花芽も手でこすり落とします。葉芽(とげのように見える芽)は残します |
| 5年目から | 収穫に向けて花芽を残します。花芽は木全体で200個ほどが目安。細い枝は花芽ごと切り、込み合った枝・枯れた枝を切って太く元気な枝を残します。花芽の多い長い枝は3分の1ほど残して切ります。地面近くから出る枝(サッカー)や根元から出る枝(シュート)も切ります |
| 5年から10年 | 高さ2mほどになるので、背丈を調整します。古い枝、弱い枝、傷ついた枝を根元から切り、しっかりした枝を8本から10本残します |
よくある質問
- 1本だけでも実はなりますか?
- なりますが、ブルーベリーは自分の花粉では実がつきにくい性質があります。同じ系統の違う品種を2本以上近くに植えると、実つきがよくなります。サザンハイブッシュ系のサンシャインブルーのように、1本でも実がなりやすい品種もあります。
- ベランダの鉢植えでも育てられますか?
- 育てられます。日当たりのよい場所に置き、2、3年に1回は植え替えて根詰まりを防ぎましょう。
- 庭の土にそのまま植えてもいいですか?
- ブルーベリーは酸性の土を好むので、植え付け前にピートモスをたっぷり混ぜてください。堆肥や有機肥料を多く入れるのは避けましょう。
- 葉が赤くなりました。病気ですか?
- 秋(10月から11月ごろ)の紅葉なら問題ありません。それ以外の時期に赤くなったり枯れたりするときは、病気や根腐れの可能性があるので、風通しと水はけを見直してください。
ブルーベリー農園「森の畑」について
森の畑は、ノーザンハイブッシュ系ブルーベリーを中心に、約8,000本を鉢(ポット)で育てている長野県の農園です。栽培から、ジャムなどの加工、通販での販売までを自社で行う6次産業化の認定農家で、2018年11月には農林水産省主催「第21回全国農業担い手サミット in やまがた」で農林水産省経営局長賞(販売革新部門)をいただきました。
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