ブルーベリーの育て方
ブルーベリーの歴史
ブルーベリーの歴史は比較的浅く、日本でメジャーになったのも20世紀後半頃からです。
生食だけでなく、ブルーベリージャムやソース・ドライフルーツ・サプリメントなど身近に食べられるので、意外に感じられるかもしれません。
まずはブルーベリーのルーツ・日本を含む世界に広まったきっかけなどを紹介します。
ブルーベリーの世界史
ブルーベリーは世界各地に野生種が自生しており、特に17世紀ごろには北米大陸で食料または薬として用いられていました。
その後ヨーロッパからアメリカに移住してきた人達が増えてきました。
今のアメリカ人の祖先の多くは400年ほど前に、イギリスを中心としたヨーロッパから移住してきた人びとです。
最初の移住者102人がたどりついたのは、アメリカ北東部、現在のマサチューセッツ州のプリマスです。
1620年12月、ちょうど真冬でした。
たくわえがつきると、多くの人たちが、飢えや壊血病に苦しみ、半数以上の人が亡くなりました。
そんなようすをみて、もともとそこに暮らしていた先住民であるネイティブアメリカンたちが、干したブルーベリーの入ったスープなどをくれ、ブルーベリーの食べ方や貯蔵方法を伝え、移住者たちは、かろうじて生きのびることができました。
その出来事によりブルーベリーのことを「命の恩人」と呼んで、アメリカでは特別な思いをよせる果物となっています。
この頃に保存食としてドライフルーツにしたり、ジャムにしたりしていました。
1860年代には北米大陸で野生種の栽培化が始まっていましたが、あまり研究が進まず成功例は少なかったようです。
その後ようやく改良され、果樹としてのブルーベリーが誕生したのは1920年頃のアメリカでした。
現在全世界で栽培されているブルーベリーの曽祖父、祖母にあたる品種たちです。
1950年代に入り、ブルーベリーの品種改良が進み、ビッグセブン(七大品種)が誕生し、今では世界各国(メキシコ・チリ・カナダ・ヨーロッパ・ニュージーランドなど)に広まっていきました。
ブルーベリーの日本史
ブルーベリーが日本に初めて伝わったのは1951(昭和26)年、農林省北海道農試(当時)により、アメリカからノーザン・ハイブッシュ系ブルーベリーが導入されましたが、普及はしませんでした。
その後20年を経て、本格的な栽培と研究が開始されたのは、1971年(昭和46年)、この年に、東京農工大学から長野県須坂市の「長野県果樹試験場」に穂木(ほぎ)が導入され試験栽培が始まりました。
ノーザン・ハイブッシュブルーベリーの、事実上の栽培開始元年にあたります。
当時、ブルーベリーの研究は「長野県果樹試験場」および東京農工大学が、試作は、長野県北部の地元の「伊藤ブルーベリー農園」が、そして、苗の増殖は「小町園」が行いました。
東京都府中市にある東京農工大学農学部は、日本のブルーベリー研究発祥の地です。
それは、故・岩垣教授が、1965年(昭和40年)からラビットアイ系品種の試験栽培を始めたことによります。
それから3年後の1968年の3月、岩垣教授に依頼された東京農工大学出身で小平市在住の島村速雄氏がブルーベリー栽培を始めました。
これが、ラビットアイ系品種による、民間でのブルーベリー経済栽培の始まりであり、日本初のブルーベリー園が東京都小平市に誕生することになりました。
その後1980年代に、アメリカで温暖な地でも栽培できる、サザン・ハイブッシュ・ブルーベリー品種の改良が進み、日本でのブルーベリー栽培は、関西、九州、沖縄地方まで広がっています。
現在、果実またはジャムやケーキ・クッキーとして店頭に並び始め、機能性食品としても認知度が高まっています。
1990(平成2)年にはブルーベリーの作付面積が180ヘクタールだったところ、2015(平成27)年には1,100ヘクタールと、6倍に広がりました。
国内では、
長野県
東京都
茨城県
群馬県
などが盛んです。
ガーデニングブームの追い風もあり、今ではブルーベリーは自家栽培としてもすっかり定着しました。